2015.05 南アルプス深南部
 寸又峡温泉〜前黒法師岳1943m
〜黒法師岳2067m













所持品:テント(2人用)・シュラフ
・コンロ・食器一式・食糧10食分
・水2ℓ.日本酒2ℓ
・カメラ・携帯電話 他

単独

雪は消えていましたが、そのかわり
雪に解放された笹が立ち上がり
背丈程になって苦労しました。

車を手放した為、公共交通機関利用です。




  2015.05.19

早朝に自宅を出発して、JRの在来線
・大井川鉄道経由で寸又峡温泉の民宿に
宿泊します。




大井川鉄道のSL列車を利用しました。
今回は、目的地までの行程も楽しみます。



SL列車は、旧国鉄の客車を利用しています。

SLの燃料である石炭は、
昔の石炭とは違い人体に無害のものを
利用しているとの事。
トンネル内も、窓を開けて列車は走ります。



14:37 寸又峡温泉に到着しました。

時間が早いので、近くの河原を散策し、
町営温泉「美人の湯」に入りました。



民宿は、私ひとりの貸切でした。

夕食にイノシシの肉など、
珍しいものがたっぷり出てきて、
感激です。

宿泊施設:ペンション寸又峡



  2015.05.20

寸又峡温泉を早朝に出発し、
前黒法師岳を超えてヘリポート跡まで行きます。



05:10 寸又峡温泉を出発。

天使トンネルと呼ばれています。
昔、鉄道が走っていました。

近くに「夢の吊橋」など観光スポットがあって、
週末は賑わう所です。



05:55 飛龍橋に到着。

この橋も元は鉄道橋で、
大井川鉄道井川線の支線が走っていました。



06:10 前黒法師岳登山口。

この山域全体に言える事ですが、
稜線は比較的なだらかですが、
尾根に登るまでの斜面が急傾斜です。

登山口付近の道は崩落して、
狭く急傾斜で危険でした。



06:50 湯山集落跡。

今はこんな山奥に! と、
思いたくなりますが、
水と食料さえあれば人間は
生きられるはずでした。

現代人は、娯楽を求めて下界に去って行きました。



08:05 ここで昔の林道に出会います。

写真は、朝日岳1827m
前黒法師岳・沢口山とともに寸又三山です。



林道の法面に綺麗な地層が見えますよ。

これぞ南アルプスが大昔は海底だった証明!



09:30 栗の木段に到着。

ここで、やっと尾根に乗りました。



11:40 白ガレの頭

想い通りのコースタイムを
取れていません。
今後、年齢を考えた荷物量に
しなければならないなぁ。



やっと眺望が得られた!
 板取山が見えてます。

ここ白ガレの頭で、食事をします。
本当は、前黒法師岳で食事をする予定でした。



14:04 前黒法師岳に到着。



今年最初の本格的な登山につき、
体が思うように動きませんでした。

30分の長めの休憩をし、
25000分の1地形図を良〜く見て、
下るべき尾根の特徴を確認した。

それでも、平行する北側の
小尾根に入ってしまった。
赤リボンに惑わされたためだ。

目指す尾根は、黒法師岳方面に
連なっているが、樹林帯なので、
眺望が無く判らなかったのだ。
(幸いロスタイム20分で済んだ)
頼りになった物は、磁石でした。
磁石さん有難う。



15:22 今は廃道になった
営林署(森林管理署)の林道に到着。
振返れば、
超えて来た前黒法師岳が見えている。

あちこちに動物の骨が
散らばっていたが、気にせず
残り900mの林道を歩く。



林道から、明日登る黒法師岳2067mを望む。



林道の標識。

ここに車道を切り開いた人たちは
、本当に大変だった事でしょう。
残念ながら度重なる土砂崩れの為に、
補修の甲斐なく、
この林道(約60キロメートル)は、
完全に通行不能。



16:10 ヘリポート跡。

南側が開けており、南向きにテントを張る。
夜間の天体観測が楽しみだ。



300m程林道を南へ(街のほうへ)歩けば、
水場があります。

この沢をもっと下れば、
水量の多い所が見えてます。
ただし、急斜面。

この場所でも、10分あれば
2リットルの水が確保出来ました。



  2015.05.21

ヘリポート跡にテントを張ったまま残し、
軽量化で黒法師岳を目指します。
余裕があれば、丸盆岳まで行ってみたい。




05:30 ヘリポート跡を出発。

やはり自分ひとりだった。
深夜0時から降り出した雨も、
すっかりやんで、さわやかな朝でした。



ここだけズームアップ!

南アルプスの主峰が見えました。
左から、光岳・聖岳・上河内岳。

右端は、笊が岳かも知れません。



08:05 思ったよりアップダウンがあり、
この時間でやっと
黒法師岳の登りに入ります。



08:52 こんな感じで急斜面の
笹原を登ります。

正直なところ、
どこが道なのか判りません。
ただひたすら、笹の短いところを
選んで登るのみです。



09:35 黒法師岳2067mに到着です。
とりあえず、今回の目的地に
到着しました。

あの笹原も、少しずつでも前進すれば、
山頂に立てたんです。



天気は最高です。
しかし、誰にも逢いません。

平日だから、若い人は
皆仕事を頑張っているのでしょう。
定年退職者には、過酷な山域である。



少し時間が有るので、
丸盆岳のほうに散策してみよう。

丸盆岳は、黒法師岳より
1mだけ低い2066mの山。
その手前の「カモシカ平」が
素晴らしいところだと、ヤマレコ会員が
口を揃えて投稿していた。



10:45 写真は丸盆岳。

行きたかったけれども、
最低鞍部付近から引返します。
丸盆岳手前に見える平地が、
カモシカ平なのでしょう。



最低鞍部から北西方面です。

人気の池口岳がちょっとだけ見えます。



最低鞍部1860m付近から西側です。

御嶽山には、登山禁止解除になれば
登ってみます。
3000m峰で未登頂は、御嶽山3067mと
前穂高岳3090になりました。



11:05 少し戻って南側です。

去年登った「本邦最南端の2000m峰」
であるバラ谷山2010mです。



11:34 ここは静岡県。静岡というと、
海辺の県というイメージですが、
山林面積は広大です。



時間があれば、
左にも行ってみたかったけれど・・・



11:40 黒法師岳に戻って来ました。

話題の×印三角点です(普通は+印)。
おそらく、林野庁の林班境界標石を
代用したのでしょう。



黒法師岳で1時間位のんびりして、
テントのあるヘリポート跡に
戻ります。

途中のガレ場に、アカヤシオの花が
咲いていました。



14:40 ヘリポート跡に戻ります。

テント1000張位の広さに、
今日も自分ひとりです。
結局、2泊3日の間、人には逢いませんでした。



テントの中で、日本酒を飲みながら休憩中。

何という喜び、何という贅沢。
たぶん、半径10キロ以内には、
人間は私ひとりだけ・・・。



  2015.05.22

今日中に下山し、温泉に入ってから
浦安自宅に帰ります。




01:30 起床
02:15 食事
04:10 テントを撤収して出発。

04:50 動物の骨が散乱していた場所。
なるべく見ないようにして通過。

06:20 前黒法師岳から南部を望む(写真)。



07:49 イワカガミの群生地。

寸又峡温泉の人の話では、
ここで引返す人も多いとか。



09:10 湯山林道。

この林道も、歩行者ですら通行不能の程、
荒廃しています。

下山中は、帰りのバスの時間を
気がかりに歩いて来ましたが、
この時点で、
目的のバスに乗れる確信が持てました。



寸又峡温泉の町営露天風呂(400円)。

観光案内やネットでは、「美人の湯」
として紹介されています。
泉質は強アルカリ性で、
温泉自体が石鹸を含んでいるようです。
石鹸は使わない方が良いでしょう。



13:52 アプト式で有名な
大井川鉄道の井川線に乗車。

時間の都合で、アプト式区間は
乗車出来ませんでしたが、
静岡市に住んでいた時は、
良く乗りました。

一番後に機関車が付いて、
後ろから押しながら走るんです。



大井川鉄道の車窓から、
大井川の流れ。

この鮮やかな青色は、
チンダル現象なのだそうです。
高校の化学で習いましたが、
光のいたづらだったかな・・・。



付録です。

下山中に見かけました。
「ケータイokケータイ」 
と書かれています。

これは、ここだけケータイが通じるという、
登山者へのサービスだけでなく、
地元の山岳会が、人命救助において
緊急連絡するための目印です。

現代的な登山標識ですね。



帰りは新幹線に乗って、
浦安自宅には、いつもの通勤時間に
帰宅しました。


過去に4日間、誰にも逢わない
登山を経験してますし、
ラジオで人の声を聞いているから

寂しくはありませんでした。

一方で、途中に山小屋は無く、
エスケープルートどころか、
登山道そのものが無い
今回のコースは、もちろん真剣勝負。

さすがに雪は無く、
生息数の多い「ヤマビル」はまだいない。

だからこそ苦しくも楽しい登山でした。